レポート

ブラウン管テレビと掃除機が楽器に変身、そしてアンサンブル!【2017年レポート】

2017.10.01 | レポート

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企画名SUMIYUME HOOVER ENSEMBLE(すみゆめ掃除機アンサンブル)
  • 団体名 : VINYLSOYUZ LLC
  • 開催日 : 2017年10月01日 (日)
  • 会場 : 墨田区役所1Fアトリウム(集合場所)、墨田区役所前うるおい広場

10月1日、墨田区役所前のうるおい広場などで「SUMIYUME HOOVER ENSEMBLE(すみゆめ掃除機アンサンブル)」が開催された。古い家電を楽器に変えてオーケストラを目指す「エレクトロニコス・ファンタスティコス!」というプロジェクトによって企画された、楽器作りと演奏のワークショップである。
よく晴れた日曜にふさわしい、笑いの絶えない実験的かつ前衛的な音楽イベントだった。
 
ついさっき、「笑いの絶えない実験的かつ前衛的な音楽イベント」と書いた。
わかったような、わからないような一文である。そもそも、タイトルの「すみゆめ掃除機アンサンブル」すら、「わけ、わからないよっ!」という声が聞こえてきそうだ。
では、ここで、この特異なイベントでどんなことが繰り広げられたのか報告することにしよう。

この企画は、三つのパートから成り立っていた。
まずは、掃除。親子で参加した26人は複数のチームに分かれ、墨田区役所前のうるおい広場を散歩しながらゴミ拾いに取り組んだ。
この作業は、企画スタッフが想定していた以上の盛り上がりを見せた。大いに張り切る子どもたちが相次ぎ、予想を上回るゴミが集まったのだ。「掃除機アンサンブル」を実施するには、何よりも先立つのは「掃除」なのである。

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次に、場所をすみだリバーサイドギャラリーに移し、楽器をつくるワークショップが始まった。
参加者たち各自はあらかじめ、家庭用の掃除機やハンドクリーナーを持参。ありふれたこの家電品を、楽器に変身させるという目ろみだ。
カッターやはさみを片手に、参加者たちはペットボトルを切ったり、ふせんのような形の切れ目を入れたりと作業に取り組む。続いて、加工を施したペットボトルを掃除機の吸入口にテープで留めていく。
そして掃除機のスイッチを入れると、ふせん状の切れ目が楽器でいうリードとなって振動し、音の素となる。また、ペットボトル内部が共鳴体となって、音を響かせる。掃除機の音とは異なるサウンドが、掃除機の音とともに響くのだ。
実際に音が出ると、参加者たちの表情ががらりと変わる。破顔一笑という四字熟語が目の当たりにできる。
そしてちびっこたちは飛び跳ねた。音楽とダンスが深い関係にあることは、このワークショップで強く実感できるのだ。

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掃除機の先にペットボトルの筒をつけただけの実にシンプルな楽器である。だが、この楽器制作ワークショップのミソは主にふたつある。
ひとつは、参加者を3グループに分けたこと。高音域・中音域・低音域に分けてそれぞれ楽器づくりに取り組み、その後の合奏を音楽的に豊かにしたことだ。
もうひとつは、カスタマイズ。ペットボトルを掃除機につなぐだけでは味気ない。企画者はさまざまな色や形のシールとかビーズなどデコレーション材料、それにマーカーなども用意。無色透明のボトルに、参加者たちはお化粧を施していく。

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それにしても、どの家庭にもある掃除機が、楽器と化すとは! 
今回の催しの中心となったのは、アーティストでミュージシャンでもある和田永さん。1987年に生まれた和田さんは、古い電化製品を楽器として転用させ、斬新な奏法を示す活動を続けてきた。
たとえば、旧式のオープンリールのテープデッキを使用して音楽を演奏したり、ブラウン管テレビが発する電波を音に変換させ、打楽器のように演奏したりといったパフォーマンスを見せてきた。
今回は、現役で活躍中の家電を用いる点では、これまでの和田さんの活動とは一線を画す。その一方、家電品を本来とは異なる用途で活用するという点では、従来を踏襲したとも言える。

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そして、場所はふたたび墨田区役所前のうるおい広場へ。すみゆめ掃除機アンサンブルによる合奏の始まりだ。
和田さんが演奏するブラウン管テレビのリズムとともに、三つのチームがそれぞれ音を出す。和田さんの即興的な指揮(というか、口頭指示)により、音楽が生まれていく。ブラウン管テレビと掃除機を楽器に再活用して演奏するという画期的な音楽が、この日、出現したのだ。

 

 

新川貴詩(しんかわ たかし)
兵庫県生まれ。早稲田大学大学院修士課程修了。現在は東京都在住、隅田川沿いに暮らしています。美術ジャーナリストとして、新聞や雑誌、Webサイトなどに文章を執筆。また、展覧会企画にも携わるほか、学校教員や編集者も務める。「隅田川 森羅万象 墨に夢」では、昨年に引き続き今年も選考委員を担当。

 

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