HOME / レポート / 誰かと未来を占う時間をつくる【隅⽥公園の使い⽅インタビュー】

誰かと未来を占う時間をつくる【隅⽥公園の使い⽅インタビュー】

撮影:奥村直樹
企画名【隅⽥公園の使い⽅インタビュー】居間 theater
団体名:「隅田川 森羅万象 墨に夢」実行委員会
開催日:2022年03月25日(金)
会 場:オンライン

すみだで活動する方々に、これまで取り組んできた活動や「すみゆめ」との関り、これからについて聞くインタビューシリーズ。「空想型芸術祭Fiction 東京/西京」(2018年)などですみゆめに参加してきたパフォーマンスプロジェクト・居間 theaterに、すみだとの関わりや、この秋に隅田公園で予定している企画についてお話をうかがいました。

%e5%86%99%e7%9c%9f-2022-04-10-16-23-08パフォーマンスプロジェクト・居間 theater(左から東彩織、 宮武亜季、稲継美保、山崎朋)

―居間 theaterはこれまでどのような活動をしてきたのでしょうか

宮武:2013年から、東京・谷中にある最小文化複合施設「HAGISO」を拠点に4人で活動を開始しました。HAGISOの他にはホテルとか区役所とか、元々何かの機能を持っているような場所に出かけていって、そこで行われている〝ふるまい〟みたいなことをキーワードに作品を制作しています。音楽家や建築家、大学の研究者などいろいろな分野の方と共同制作をすることもあります。

4人はそれぞれ自身でも活動をしていて、私は演劇とかアートプロジェクトのコーディネートをやっています。稲継は、フリーランスで俳優を。東は、プロジェクトのリサーチャーみたいな活動やライティングを。山崎は大学で助手をするほか、ダンサーとしても活動しています。

―すみゆめにも参加されてますよね。

宮武:まず、空想地図作家の地理人さんとコラボレーションした2018年の「空想型芸術祭Fiction」ですね。間接的なところだと、2020年に始まった「すみだ向島EXPO」にも参加しています。「Fiction」ではツアー型の作品をやらせてもらったんですけど、東京の実際のまちと、地理人さんが描いている空想地図の首都である「西京」とが同時に芸術祭を開催しているという設定です。東京のいろいろなまちで展開できたらいいなと思っていて、すみだのまちをリサーチして音声をつくり、すみだのような風景や土地の成り立ちが西京ではどう展開しているのかを地理人さんにも考えてもらいながら制作した作品になります。

fiction_0047-1024x6832018年度「空想型芸術祭Fiction」

参考レポート「墨田のまちの風景と物語を豊かに空想する」
https://sumiyume.jp/report/1846/

―すみだには以前から接点があったのでしょうか。

宮武:そうですね。2010年度に向島にある1軒家を1年間借りて行った、「墨田区在住アトレウス家」という演劇のプロジェクトに4人とも学生時代から参加していました。

img_8776

img_70022010年度「墨田区在住アトレウス家」
撮影:冨田了平

稲継:2011年の3月までだったので、3.11で揺れた瞬間、みんなその家にいたんですよ。だから近くの公園に出てきた近所の人の様子を見て、お年寄りがけっこう1人で住んでるんだなって感じたり。電車が止まってたので、北千住の学生の家の方に歩いて帰ったり。その後、公演は中止になりました。そういう出来事を経験したのも初めてだったから、「何となく通い慣れたすみだ」という印象に加えて、「その日をみんなで経験したすみだ」っていう感覚もあります。

山崎:「Fiction」をやる前のすみだは、やっぱり自分たちにとっては「アトレウス家」で拠点にしてた場所、割とピンポイントな「向島のあの家」みたいな印象が強かったのですが、「Fiction」でかなりあちこちリサーチしたので、いろんな地域があるという目線に変わりました。

東:私は「アトレウス家」の何年か後に、トッピングイーストに1年間だけリサーチに入らせてもらいました。そこで感じたのは、行政的な墨田区というくくりはある一方で、みんなが語っている言葉では、京島、向島、錦糸町周辺とか、川の傍のどこどことか、ひとつひとつの土地の印象が強いことでした。住んでいる人や興味を持って見に来た人たちも、その意識があるように感じます。

―次の活動へ向けて隅田公園をリサーチしたと聞きました。

東:改修前の隅田公園は、おじさんのたまり場で、なんか寂れた良い雰囲気が漂ってたのが、めっちゃ綺麗になってて。整備されたことによって、何か勢力図が変わったのかな…。おじさんたちはどこに行ったんだろうって話しながら公園のまわりも歩いて。
今回は、夕方から夜にかけて作品をやろうと話しています。夜の公園って普段あんまり行かないし、何かうら寂しい感じがまだ残っていて、それ自体が面白いと思います。

宮武:「うらない」をテーマに制作しようと考えてます。こちらから声をかけたアーティストたちに、それぞれの創作をベースにしながら独自のうらないを研究開発していただいて、参加者がそれを体験しながら公園の中を歩き回っていくような、回遊型の作品をイメージしています。

稲継:私達の身近なところだと、上野公園が開発されてホームレスがいなくなってしまったのが結構、衝撃で。公園のあり方とか雰囲気はどんどん変わっているんだと実感します。いまの隅田公園も子連れの人たちが増えて、みんなすごい楽しそうで安全な印象になりましたけど、逆に言うとその風景はある意味完成していて、私達が何かそこにアプローチするイメージがあまり湧かなかったんですよね。それよりはむしろ、神社の気配とか、夜の公園とかのあやしげな雰囲気に触れられたらちょっと面白いかなと。

占いは、最近友達と立て続けに話す機会があったんですが、この2年(コロナで)みんな先が見えないような時に、作品で扱ってみたら面白いと思うんですよね。占う人と占われる側、2人いてセッションが起こる。初めて会った人が占うっていう行為を口実に、何か未来と過去とか、今だけじゃないことに思いを馳せる時間になる、みたいな。

体裁としては占いフェスっていう感じで、幾つかの「うらないブース」を作りたいと考えています。明るい公園の裏側というか、別のイメージというか、独立した時間を立ち上げたいです。

―ここ2年の難しい状況の中で、活動のスタンスは変わりましたか。時事性は意識されるのでしょうか。

東:コロナ云々の前に、何か人の欲望とか尊厳みたいなところ、人の手を介したり関わりの中に存在しているものがアート以外にもいろいろあって、そういうものが面白いなっていうのは個人的にはあります。

山崎:今回の占いにしても、向島EXPO2021で作った「人と酒の関わり館」にしても、ここ何年か作品のモチーフやアイデアになるものって、自分たちの生活の実感みたいなところから出てきてることが多い気がします。4人でよく旅行に行ったり遊びに行ったりするんですけど、多分そういうときに雑談で出ていたこと。占いも作品のために探してきたというよりは、デパートや健康センターの中にある占いブースだとか、「しいたけ占い」のような西洋占星術についても前から話してました。時事的なものと、作品を作る場所性みたいなことと、ストックしてきた物事がつながってきたときに、アイデアとして着地していくのかなという感じがしています。

ima_sumida2021_s-02_1481

ima_sumida2021_s-24_1565

ima_sumida2021_s-76_1673向島EXPO2021で作った「人と酒の関わり館」
撮影:冨田了平

―「パフォーマンス」のあり方についてどのように考えているのでしょうか。

東:最近は(山崎)朋ちゃんが踊る機会が少なくなってきたから、そういうのを考え直したいなっていう話はたまにしますね。

山崎:居間 theaterをはじめた頃は、いわゆるダンスとか演劇とか狭義の意味でのパフォーマンスと、日常生活との間のつながりを作ることを考えて活動していましたが、しだいに広い意味でのパフォーマンスを考え始めるようになりました。普段の生活でのふるまい、例えばZoomで会議してるときにどう喋って、どんな身振りをするのか、とかも含めて。自分たちなりに見方をどんどん広げていっていましたが、それを経てもう1度、ダンスや演劇みたいなものを使い直してみたいなというのがここ最近の感じですね。。

suishin-55_7481

suishin-083_4503提供:としまアートステーション構想
撮影:冨田了平

稲継:活動自体が10年目なんですよね。 今回、占いという形式を借りて、それぞれのブースのパフォーマンスに私はこだわりたいです。パフォーマンスにちょっとクラクラするぐらい強度がないと、テーマに対して弱いという緊張感も感じています。

デパートで、手相占いをしたことがあるんですが、「あなた声を使う仕事してるわね」って言われて、一瞬ですごいテンションが上がりました(笑)。隣で朋ちゃんはしらけてましたけど(笑)。でも、初めて会ったおばちゃんと、10分でいきなり自分の人生の割と深いところに一緒に行ってしまう、みたいなことが占いにはある。自分でもきっと何か見いだしたかったんでしょうね…。

―具体的にはどのようなことができそうですか。

稲継:例えば占いでラッキーカラーが赤だったとして、その日着ている服が黒だったら無視すると思うけど、たまたま赤だったらテンション上がると思うんですよね。何かそういう、自分たちもよく分からない、でも面白い感情とか原理みたいなものに触れてみたいです。アイデア段階ですが、引越占いとか。生活の中で何を望んでるのかが、地理人さんの土地に対する膨大な知識によって露わになっていくみたいな。それで本当に引っ越しちゃう人とかがいたら面白いと思います(笑)。

宮武:コロナの状況とかもあって、パフォーマンスを人の前でやることが制限されていた中でもできる作品をここ最近は作ってきましたけど、それだけじゃないことをやりたい感じですね。

山崎:占いは多分いろいろなタイプがある。それがお客さんのあり方によっても、やる側のパフォーマンスが変化していく。その相互関係のセッションが生まれると面白そうだなという気がしています。

稲継:それからおみくじ的なもの、すみだにフィットしたものを何か作れるといいな。それを持ってまちを歩いてみたりもしてもらいたいです。

編集:ノマドプロダクション

  • 0
  • 0
    Twitter