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「図録ときどき会話」でくつろぐお休み処【2017年レポート】

企画名カタローグ
団体名:Bon Numatta
開催日:2017年10月23日(日)
会 場:すみだ北斎美術館MARUGEN100 [講座室]

企画名にもなっている「カタローグ」とは、「カタログ」と「語ろう」という2つの言葉を合成してできた造語。展覧会の図録や雑誌のアート特集などの「カタログ」を見ながら、自由に「語ろう」という場です。アートや美術というと、なんだか難しそうに思ってしまう人も多いかもしれませんが、「カタローグ」ではそんな心配は不要です。休憩スペースでもあるので、好きな時にふらりと立ち寄って、無理に語らなくてもOK。すみゆめの他のイベント帰りに寄ってみたり、すみだ北斎美術館に行きがてら覗いてみたり。肩ひじ張らずに気軽に楽しめる場所です。

予定では、すみだ北斎美術館前の緑町公園で行われるはずでしたが、雨天のため美術館の講座室に会場を移して開催されました。


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会場には、国内外の展覧会や美術館の図録を中心に130冊以上のアート関連の書籍がずらり。これらの書籍は、アートを介して対話を促す、アート・コミュニケータの有志が持ち寄ったものだそう。


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もちろん、北斎の図録もコーナーができるほど充実していました。


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アート・コミュニケータの方々は、「カタローグ」を訪れる人々をやさしく迎え入れてくれます。お店の店員さんのようにもてなすのではなく、やさしく見守りつつもいい意味で放っておいてくれます。こちらが何かを話したくなったら、話せばいい。そんなスタンスで参加できるので、とても気楽です。しかも、話す内容にウンチクなんて不要。「あー、この展覧会は入場するのも大変なくらい混んでいたなぁ」とか「この美術館にいつか行ってみたいんです」など、ほんの些細なことでいいんです。


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「アート・コミュニケータとの会話の中から、展覧会や展示作品、美術館に対して、何か新しい気づきを見つけてもらえたら」と主催者のBon Numattaさん。

アート・コミュニケータの方に今回印象的だった参加者についてたずねると、大阪から来たという、商品ディスプレイの仕事をされている方のことを話してくれました。「高野山や平等院鳳凰堂の図録を手に取りながら、雑誌よりも美術本やアート本の方がレイアウトの参考になるとおっしゃっていました。開催中の横浜トリエンナーレの話をしたら興味を持たれて、今から行ってくると。フットワークの軽さに驚かされましたね」

一方で、アート・コミュニケータの方も参加者との会話を通して気づくことがあるのだそう。
「図録をきっかけに、お話しする方の過去の古い記憶はもちろん、『先週この美術館に行ってきたばかり』といった現在、『今度あの展覧会に行ってみたいな』という未来にまでつながるんです。話を広げられるコミュニケーションツールとしての図録の力を思い知りました」

図録というと、資料や個人で楽しむものというイメージがありましたが、どうやらそれだけではなかったようです。私もそんな気づきを得られたひとときとなりました。


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そうこうしているうちに、「カタローグ」もそろそろお開き。フィナーレを告げるかのように、伊藤真矢子さんによるフルートのやさしい音色が聞こえてきました。「秋」をテーマに伊藤さんがセレクトした楽曲は会場の空気と一つになって溶け込んでいくよう。楽曲に耳をすませる人もいれば、BGMにしながら引き続き図録を眺める人もいて、マイペースに過ごせるのも「カタローグ」ならではです。

当日は残念ながら雨でしたが、秋雨の中での「カタローグ」もしっとりと落ち着いた雰囲気で心地よい空間でした。まさに「大人のカタローグ」。「カタローグ」は場であるだけに、会場やそこに集まる人たちによっても雰囲気が大きく変わりそうです。
次は、青空の下、子どもたちの笑い声や木々の匂いなどが感じられる「カタローグ」も体験してみたい。そんなことを思いながら、会場を後にしました。

 

レポーター:岩本 恵美(いわもと えみ)
東京・下町生まれ、下町育ちのライター・編集者。Webメディアや新聞紙面の制作に約10年携わり、2016年よりフリーランスに。アートや音楽などカルチャー全般が好きで、食わず嫌いのない雑食系です。昨年に引き続き、彩り豊かな「すみゆめ」を生き生きとレポートしていきたいと思います。

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