レポート

異世界へ誘う光と影 「みんな北斎プロジェクト ワークショップ編 影絵であそぼう!」【2021年イベントレポート】

2021.11.06 | レポート

企画名みんな北斎プロジェクト ワークショップ編 影絵であそぼう!
  • 団体名 : みんな北斎プロジェクト
  • 開催日 : 2021年11月06日 (土)
  • 会場 : すみだ生涯学習センター(ユートリヤ)

北斎が生きた江戸の時代にも親しまれていた光と影のアートを体験するワークショップ。3回の時間帯に分けて、72名の応募者の皆さん(赤ちゃんから小学生、大人の方まで幅広い年齢層)が参加しました。前半は1 階のギャラリーで制作活動、後半は2階のホールで影絵あそびという流れです。影絵あそびのファシリテーターは、影絵師のSAKURAさん。日本を代表する影絵アートの第一人者、藤城清治さんに師事された方です。

カラフルな素材を使って影絵で自分の分身を作る

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前半は、後半のワークショップで使う作品づくりを行いました。会場には6つのテーブルと材料や道具が用意され(材料は、半透明のカラフルなカッティングシートと、シール状の黒い紙)、参加者が材料を好きな形に切って、それを組み合わせて、透明の塩ビ板にコラージュしていきます。

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作業に入る前には、参加者の皆さんが完成イメージをつかみやすいように、10月6日(水)、21日(木)に福祉施設「亀沢のぞみの家」で制作された作品が展示・紹介されました。施設の方々がどのようにして作品を作ったのかや、これまでどのようにアートと関わってきたのか、会場にいる皆で共有しました。

その後、それぞれが自分の作品を作るフリータイムに突入。最初は少し不安そうな表情をされていた方もいましたが、カッティングシートやハサミで手を動かすうちに……頭のなかで影絵のイメージが膨らんで、どんどん作りたいものが湧き出してくるよう!

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ハサミで切ったカラフルなカッティングシートやシールが塩ビ板にコラージュされて、カラフルなチューリップや、くだもの、電車、ニコニコ笑っている流れ星の顔、地球と月の模様、強そうな恐竜などが完成していきました。子どもたちは、大好きなモチーフをかたどった作品を目を輝かせながら手にしていました。

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限られた素材で作っているのに、それぞれどんどん個性が広がっていって、とてもユニークな作品が仕上がりました。

作った作品と一緒に光と影の世界に飛び込む

会場はホールへと移動。大きな白幕のスクリーンが設置されていて、その前でSAKURAさんのお話がはじまりました。客席についた参加者の皆さんはSAKURAさんのお話を聞き、問いかけに答えながら、これからはじまることにワクワクしている様子です。影絵あそびの実演に入る前に、いくつか光と影の実験をしました。

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まずは、部屋の明かりを消して、大人がスクリーンの向こうに横一列に並びスクリーンに光を当てるとどうなるか?

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人型の影が浮かび上がってきました。そしてSAKURAさんが号令をかけると、光を動かし、それに合わせて影が長く伸びたり、短く縮んだり……SAKURAさんが問いかけると子どもたちが「伸びる!」や「縮む!」と答えながらスクリーンに映った影を観察して楽しみました。

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次に、裸電球の明かりだとどうなるか?

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裸電球の光と影がスクリーンに映し出されました。より暖かな雰囲気の明かりです。そこへ音響効果もつけられました。影が動くと、ドンという太鼓の音や、シャンという鈴の音。小日山拓也さんが即興で音をつけていきます。暖かな光と影の世界が、より深みをますように、その場を盛りあげていきました。

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光と影の実験が終わると、いよいよワークショップ前半で作った作品を持って出る番です。SAKURAさんが、スクリーンの向こうに「ケコミ」を設置し、3つのグループに分かれた参加者を誘導します。グループごとにスクリーンの向こうに呼ばれると、自分の作品の影を登場させていきました。「それでは、影で”笑う”をやってみましょう」とSAKURAさん。それから「じゃあ次は”こんにちは”をやってみましょう」と、次々とお題が出されて影を使った表現にチャレンジしました。

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そのあと、SAKURAさんによる影絵劇「みんな北斎!」がはじまり、この影絵劇には参加者全員が作品を持って登場しました。まずは影絵の葛飾北斎がスクリーンに現れて、皆さんが作った作品の影も船に乗りこんでいきます。隅田川の水上をゆくこの船の行き先は両国国技館です。そして国技館で待っていたのは、「アピール相撲」なる影絵による相撲バトル!

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「ルールは簡単。”10秒間、思い切りアピール!”です。はっけよーい、のこった!」というSAKURAさんのかけ声で、アピール相撲がはじまりました。参加者は、順々に参戦。塩ビ板につけた持ち手部分を転がしてくるくる回してみたり、スクリーンの画面いっぱいまで影を大きくしてアピールしたり、自分で考えたいろんな「技」を披露。影絵あそびが初めての子どもももうすっかりコツを掴んだ様子で、アピール相撲は、最後まで白熱しました。

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フィナーレでは、スクリーンに映し出された隅田川やスカイツリー、北斎の冨嶽三十六景の絵、隅田川の花火のスライドショーに、作品の影絵を映して自由に動かしてあそばせ、楽しみました。

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撮影:加藤健

影絵あそびは、北斎が生きた江戸時代から町の人たちに親しまれてきたと言いますが、美しい影絵の世界はいつの時代も私たちを異世界へ連れて行ってくれるものです。そして北斎は、墨田区とゆかりの深い芸術家。影絵の中でも、子どもたちと北斎のコラボが出てきましたが、そのつながりをとても自然に感じることができました。コロナ禍の疲れも吹き飛ばしてくれる素敵な企画。皆さんが笑顔で会場を後にされていました。

堀 あいえ
東京都生まれ、東京都在住。上智大学文学部フランス文学科卒業後、一橋大学大学院言語社会研究科修士課程を2003年に修了。雑誌・書籍・webでは翻訳・インタビュアーとして執筆。著書に「スタイリッシュ・シネマとスケッチ・ノート 映画の中のファッションと衣裳デザイン」(文化出版局)、翻訳書に絵本「星の王子さま」(徳間書店)など。2020年にノマドプロダクションに参加。