神社の境内から始まった⼿作り市が⼤切にしていること【隅⽥公園の使い⽅インタビュー】
すみだで活動する方々に、これまで取り組んできた活動や「隅田川 森羅万象 墨に夢」(通称:すみゆめ)との関わり、これからについて聞くインタビューシリーズ。2011年から牛嶋神社を拠点に開催されてきた、東東京最大規模の手作り市「すみだ川ものコト市」実行委員の3人にお話をうかがいました。墨田区内外からクリエイターが集まるこのイベントは、今後どのように展開されるのでしょうか。
―ものコト市はどのように始まったのでしょうか。皆さんは最初から関わられているのですか?
三田:2011年に、牛嶋神社の境内で初開催しました。初めは36組とかの出店規模から始まって、次第にお客様も、出店したいという方も増えていった。そうすると境内だけではちょっと手狭になっていって、隣接する隅田公園も使わせてもらっています。最近は年1回秋に行っていて、今年行うことができたら第16回を迎えます。
私は、一応初めから関わっているメンバーの1人で代表をやってたんですけれど、今は一実行委員の立場です。素人ばかりなんですが、10〜15名くらいで集まって運営しています。
角田:私も1回目から関わってまして、最初は7,8名でした。「手作り市をやりたい」っていう人が墨田区に何人かいて、三田さんがそのやりたい人たちを集めてくれたのがきっかけ。私もその1人です。4回目から代表兼実行委員長を引継ぎ、8回目に代表と実行委員長をわけ、代表を三田さんに引き継ぎました。今は実行委員長として皆さんの士気を上げたり、会場設営や飲食出店などの担当をしてます。
天草:私は、初回から出店者として参加させてもらっていて、青空リラクゼーションをやっています。4回目から実行委員に入って、運営の方も始めたっていう形です。役割としては会計と、当日は受付や全体のサポートができるようなことをしながら出店もしています。
牛嶋神社の境内ではお店が並ぶほか、ワークショップや音楽ライブも行われる「ものコト市」
―開催場所についてはどのような議論や変遷があったのでしょうか
三田:始めようと呼びかけたメンバーが4人だったかと思うんですけども。ある人は荒川の河川敷、ある人は押上の前の道路を占有してやりたいとかの案もあって、でも、やり方が分からないんですよね。意見交換していく中で、京都のお寺だとか、池袋の鬼子母神とか、品川神社とか、神社仏閣でやっているケースが多いっていうのがわかった。墨田区内でそれなりに広いスペースも取れて、相談しやすいのが牛嶋神社だった。
角田:区役所とつながっている方が、牛嶋神社宮司様が代替わりをし、新しい事を受け入れてくださるかもという情報も持っていた。三田さんがハブになって、みんなの意見や情報がまとまったと思います。
最初はバタバタでしたね。いきなり雨で順延だったり。出展者が減っちゃったので、急遽私も出店したり。でもそんな中で結構な人がバーッと集まってきてくれたことがすごく良くって、ものすごいあの場所がキラキラキラキラしたんですよ。みんな笑顔で。何か奇跡的な1日だなって思って、これは絶対続けようと思った。
三田:4回目から境内をはみ出して、会場を公園に広げた。
角田:そうですね、まず出店者が増えたということもあり、公園の通路に少しづつ店舗を広げていきました。牛嶋神社の横に木々が鬱蒼とした素敵な空間があり、そこを飲食スペースにしようと閃いて「森のカフェ」と名付け移動ました。あと雨天にどう対応しようかというのもありましたが、やっぱり牛嶋神社のエネルギーをすごく大切にしていたので、毎回話し合いの中でそこに戻る。
天草:どこかガード下とか会場借りてやろうかって話しが出ても、結局牛嶋さんからは離れたくないっていうのが共通認識。
三田:だから隅田公園が新しくなったとしても、多分、牛嶋さんは欠かせないですよね。
―会場はどのような雰囲気ですか
三田:出店者さんからは、他の手作り市に参加するよりも楽しいっていう意見をいただくことが多いです。お客さんがいいっていうのが一つ。フラッと来た一見のお客さんとか下町の人とかって、「これ高いわね」みたいなことを言われがちだと思うんですけど、そういうのがあんまりなくちゃんと物を見てくれたりとか、買ってくださるっていうのがすごい嬉しいことだと思うんですね。
天草:お客さんも一緒にものコト市を作ってくれてるんだなって実感したのは、雨が降ってきて1時間早く撤収ってなったときに、出店者のテントをたたむのとかをお客さんが自主的に手伝ってくださったことがあった。
角田:墨田区がものづくりの町でずっと歴史があるので、魂というか、その気持ちを多分牛嶋さんがいっぱい聞いてるんだろうなみたいなところがあって、その魂を引き継ぎ繋げていくとか、橋渡しすることがコンセプトで。まず牛嶋さんにお参りしてから買い物に行ってくださいねってことは伝えてるので、心が1回洗われる。のかもしれません。いい人ばっかりっていうのはそういう作用もあると思います。
天草:毎回、当日に玉串をあげてもらってるんだよね。
角田:2018年秋に台風で鳥居が倒れてしまって、再建の募金活動をしたこともあった。
―リニューアルした隅田公園の使い方のイメージはありますか
角田:イベントに使いやすい広場ができたのと、それが公園の入口になっているので、そっちも使わせてもらおうと思ってたんですけど、人の流れみたいなものをコントロールするのが難しいんじゃないかって意見も出てますね。土日とか結構、芝生でみんなくつろいでいたりするのも見ていますし、それがどうなるかなって。
三田:何かこの場所でいろいろなイベントが開かれてるんだなって感じにはなってきていると思うので。そういう意味ではやりやすいかも知れない。
角田:人を呼ばなくても来る公園になったので、集客は問題ないと思うんですけど。いろんな人がいることで出てくる問題もあると思うので、何が起こるかわからない。
三田:今までは割と、ちょっとした空間の中でやっていたのが、結構開けた場所でやることになるので、雰囲気もだいぶ変わるのかな。その中でどうものコト市らしさを演出していけるか。空間演出の中で使っているガーランドの使い方とか。みんなでこれ手作りしたんですよね、家にある布とかを持ち寄ってやったので1個ずつ違う。
天草:素材もバラバラで、布だけでなく皮のものがある。
三田:でも共通する雰囲気があるって言われますね。
角田:また装飾を何か増やすとしても、やっぱり手作りのものがいいな。そこからぶれない方がいい。
―他に、3年ぶりの開催に向けて考えていることはありますか
角田:はじめてもう10年たちましたからね。
三田:今年は亀戸天神の大祭(4年に一度)と牛嶋神社の大祭(5年に一度)が重なる年でもあるんですよね。
角田:お祭りと一緒で、事前準備の中で、みんなで盛り上げていこうみたいなところをやっていかないといけないと思ってます。
天草:ミーティングも今ほとんどオンラインで、直接集まったときと熱量が全然違う。ウォーミングアップをしていかないと、新しいところでやる以前に久しぶりにこの規模のイベントをやることにちょっと今、楽しみと不安が入り混じってますね。
三田:すみゆめにはいつもネットワーク企画という形で関わらせてもらっていて、チラシやウェブサイトに一緒に載せていただいたりするので、アートに興味のある方がものコト市にも来てくださる流れをつくれたらと思います。
角田:同じ時期にやっていますし、もっと連携したいですね。出店者の募集が5月下旬頃からの予定なので、まずはその情報をチェックしてもらえたらいいですね。
第16回すみだ川ものコト市 出店者募集
すみだ川ものコト市は、10月15日(土)に3年ぶりの開催を目指して準備中!
物販・クラフト素材・ワークショップの出店者を募集します。
募集期間:5月30日(月)〜6月19日(日)
詳細:https://www.sumida-monokoto.info/
編集:ノマドプロダクション